ひょうたんグループ提供(日立市)
茨城県北芸術祭シンポジウム

2016年3月5日
2016年9月17日から11月20日までに、茨城県北6市町を舞台として行われる国際的な芸術祭のさきがけとして、2016年3月5日(土)に日立のシビックセンターでシンポジウムが行われた。
「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭シンポジウム アートというマジック 見えないものを見せる技」としたシンポジウムには個性的なゲスト講演者が招かれて、会場を沸かせていた。
総合ディレクターの南條史生氏から、「KENPOKU ART2016」の基調講演がおこなわれた。海にも山にも恵まれながらなぜか人気のない茨城県北に、アートを!という 趣旨であった。芸術祭では自然と対話するアート、科学、技術を利用した先進的なアートに焦点を当てるという。「芸術」「科学」「技術」というすみわけ自体が無くなるあらたなアートを展開する可能性について熱く語っていた。

 ゲストとして招かれた落合陽一氏。メディアアーティストであり、筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室を主宰している。デジタルとアナログをくみあわせ、リアルとバーチャルを区別できなくする「現代の魔法使い」と呼ばれている。実在しないものを視覚的に見せる作品を生み出しているが、それは「魔法」ではなく、難解な微分方程式にうらうちされたものだという、非常に刺激的な発表であった。1987年生まれという若さも感じられ、「日立の駅前はヤバイ」「茨城県は国だ。なんでもあるから出て行かなくて生きられる」などの 発言は、会場をどよめかせていた。
 海外からのゲストアーティスト、イアン・カルロ・ハウシャン氏はアートに科学、サイエンスフィクションや驚き、ユーモアを見出す研究をしている。アナログな作品ながら、笑いがあり、とくに「死んでいるのに動く魚」「自分で明るい方に動き、水やりも自分でする植物」などは会場で大変好評であった。

 フィリピンからの学芸員、ホセリナ・クルス氏も、現代のアートの潮流についてトークセッションに参加した。演題の「アートというマジック」というタイトルそのものの定義がといなおされ、マジックに見える作品が科学技術の産物であったり、科学技術者がアートを生んだりという境界が消えてくるだろうということがセッションで生まれた方向性であった。落合氏の口にした「エジソンはアーティストだ」という言葉が、簡単でありながら、アートの本質を物語っていた。
県北芸術祭はまだまだ知名度が低く、実施までには大変なプロセスが予想されるが、会場となる日立市の市民として応援していきたい。


英語)    (戻る)    (トップ)    (ホーム

inserted by FC2 system