「ひょうたん」グループ提供 日立市

縁 起 物
 破 魔 矢 (はまや)
 


皆さんは日本では昔から魔よけのお守りとして弓矢があるのをご存知でしょうか?弓矢は、弓と矢からなる狩猟具として一万年以上前から使われていますが、現代の日本では、スポーツとして洋弓によるアーチェリー競技や、心身鍛錬として弓道(和弓)などがよく行われています。ところで、弓矢には邪気(じゃき)を払う特別な力があると信じられ、さまざまな行事や神事には弓矢が用いられることが多いのです。それは、手を触れずに遠く離れている敵を射止めたり、狩猟では遠くの獲物を仕留めることができるからです。そのため、昔からこの道具には神秘的な力があり、神聖なものとして信じられてきました。そして、見えない魔物などと戦う武器としても神話や伝説にも登場するようになりました。現在でも、神社の祭事として、五穀豊穣(rich harvest)、無病息災(good health)を祈願するため、鎌倉時代の武士の衣装をまとった騎手が馬を走らせながら矢で的を射る「流鏑馬(やぶさめ)」という行事が行われています。
また、お正月には、縁起物として破魔矢が神社で売られています。破魔矢の「破魔」は、仏教用語で悪魔を破滅すること、煩悩を消滅する意味です。江戸時代(1600−1867)、武家に男の子が誕生すると、その子の最初のお正月に両親が立派な武士として出世するように願いを込めて、弓矢が贈られるようになったそうです。その風習が一般大衆にも伝わり、定着しました。その後、この風習が簡略化されて矢だけが破魔矢として正月に神社で売られるようになったといわれています。このほか、皆さんは、家を新築している時、上棟式(むねあげしき)で鬼門(北東の方向)に向けて屋根の上に弓矢を立てるのをよく見かけるでしょう。これも、鬼門の邪気を払って幸運がもたらされることを願ったものです。

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