「ひょうたん」グループ提供 日立市

縁 起 物

 熊 手
 

 皆さんは日本で昔から使われている農具の熊手をご存知でしょうか?人々が穀物や落ち葉などを熊手を使って、かき集めている光景を時々ご覧になるでしょう。そうです、その時に使われている柄(え)のついた手の形をした道具です。ふつうは竹で出来ています。熊の手のように爪が広がっているため「熊手」といわれます。この道具は昔、神社の祭礼の日に境内で売られていました。特に、商売繁盛の神様がまつられた神社の熊手がよく売れたことから「熊手で金儲けが出来る」といわれ始めました。そして、江戸時代(1600−1867)になって、縁起のよいもの、例えばおかめ、大判小判、七福神や宝船などを熊手に飾り付け、「金銀をかき集めて取り込む」縁起物やお守りとして広く知られるようになったのです。
 この飾り熊手は毎年11月の酉(とり)の日に、各地の神社で開かれるお祭り(酉の市)で売られます。酉(とり)は、「取り」にかけ(語呂合わせ)、豊作や商売繁盛を取込むという意味があります。何で取り込むかというと、熊手で取り込むというわけです。酉の市は、東京浅草の鷲(おおとり)神社で行なわれる市が規模も大きく、全国的に有名です。毎年約200の露店が立ち、全国各地の熊手職人が作った大小様々な多数の飾り熊手が店先に並べられます。通りは、数万人の人でにぎわい、多くの人が熊手を買い求め、よい新年を迎える準備をします。関東地方では、飲食店などで商売繁盛を願って店内に熊手を飾っているのを見かけます。商売繁盛の縁起物のとしては、前に本コラム(No.159号)で「たぬき」を紹介しましたが,たぬきと熊手の縁起物同士を組み合わせた縁起物もあります。それは、たぬきが熊手を使って大判小判をかき集めている立像です。
 


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