「ひょうたん」グループ提供 (日立市)
 大久保鹿島神社の流鏑馬

2009年 1月
 
  皆さんは日立市大久保町にある大久保鹿島神社の流鏑馬(やぶさめ)祭りをご存じでしょうか?国道6号線沿いに車を走らせると、大久保町付近に大きな「流鏑馬」の看板が両側に見えます。神社は看板の山側を入って数百b先の所にあり、流鏑馬祭りの時はこの道路が使われます。
 流鏑馬とは、もともと疾走する馬上から的に矢を射る日本の伝統的な騎射の技術、稽古、儀式のことを言います。鎌倉時代(1185-1333)に始められと言われ、狩装束をまとった射手が約250bの馬場を馬を駆けさせながら、3つの的を次々に射る勇壮な行事です。
 現在でも流鏑馬は神社の神事として五穀豊穣(rich harvest) 、無病息災 (good health)を祈願するため、引き継がれています。しかし、神社内での広い場所(馬場)の確保、馬の借用や射手の後継者の不足などの問題もあり、茨城県内には約2500社の神社がありますが、流鏑馬祭りが引き継がれているのは数カ所だけの神社となってしまったそうです。
 その中の一つ、大久保鹿島神社は、毎年10月29日に規模は小さくなっていますがやっています。祭り当日は、まず宮司、氏子、馬主、馬丁、射手など総勢40人で神社を出発して河原子海岸へ行きます。鳥帽子岩の近くの砂浜で身を清める儀式:潮垢離(しおごり)(purify)を行います。終了後は常陸多賀駅近くにある下孫鹿島神社へ寄り、お祓いを受けて大久保鹿島神社へ戻ってきます。そして午後2時から3時まで神社前の一般道を交通止めにして、射手による的を射る行事が始まります。
ここの神社の宮司さんによると、昔は、神社の参道に3つの的を立て、そこを馬で駆けぬけながら射っていたそうです。現在では参道の一部は一般道になってしまいましたので二人の馬丁が馬を引きながら道路沿いに立てられた3箇所の的を射手が各3回づつ射るやりかたです。矢が的に当たると的の板が割れる音が響き、見ている人からの拍手喝采がわきます。矢は魔除けのお守りとなるので競って矢を拾います。なごやか雰囲気と人々の笑顔の中でこの行事は終了します。規模は小さくなりましたが、400年前から途絶えることなく引き継がれてきています。この祭りは毎年10月29日と決められていますので平日に当たる年は観衆は多くありませんが、昨年は日立市の百年塾運動の一環として「日立のまち案内人」 グループの人たちもバスで見学に訪れてにぎわいました。皆さんも関心がありましたらこの古式豊かな行事を見ることが出来ます。

今橋博道 記
 


河原子海岸での神事(潮垢離)

河原子海岸を行く射手
 
神社前の一般道で行う流鏑馬

英語訳文     戻る    トップページ     ホーム

inserted by FC2 system